2025.06.14|最終更新日:2025.06.05

【経験者インタビュー】イギリスボーディングスクール留学、保護者が実際に感じたことは?(2/3)

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※本記事は、英国ボーディングスクールにお子様を送り出し、トップ大学に進学させた保護者の方へのインタビューを、3週に分けてお届けします。今回は第2回となります。

海外留学に興味はあるけれど、「うちの子に合うか不安」「親としてどうサポートすればいいの?」と迷っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、お子様おふたり(中学生・高校生)をイギリスのボーディングスクールへ送り出し、のちに英国トップ大学へと進学させた保護者の方にお話を伺いました。
どのように進学を決めたのか? 実際に現地で子どもたちはどう過ごし、どう成長したのか?日本とイギリスの教育の違いや、親として感じたメリットまで、リアルな声をお届けします。

Q:なぜお子様をボーディングスクールに行かせようと思われたのですか?

A:

長男が高校2年、次男が中学3年のときに、夫のイギリス赴任が決まりました。当初は夫のみ単身赴任することも考えましたが、私は仕事を通じて留学経験のある学生たちと接する機会があり、彼らは非常に視野が広く、留学を通して大きな成長を遂げていることを実感していましたので、一緒に渡英することを決意しました。 そうした背景もあって、たとえ駐在が終わっても、本人たちが留学を続けたいと思えばイギリスに残れるように、最初からボーディングスクールを前提に学校選びを進めました。当時、子どもたちは日本の学校生活を楽しんでいたので、留学させることへの不安も大きかったですが、あえて新しい環境に飛び込むことで、より長期的な成長につながると信じて、背中を押しました。

Q:もともと英語の教育に力をいれられていたのですか?

A:

子どもたちが幼稚園~小学生のとき、2年ほどアメリカに住んでいましたので、英語に対して耳は慣れていたかもしれません。 しかし日本では、まずは “日本語をしっかり身につけさせること”を重視しました。その後は、学校での英語教育に加え、塾で英語を学びつつ、英語環境に触れる機会を与えることは意識していました。長男は高校1年生の夏にカナダのサマースクールに行って、生きた英語に触れたことがきっかけで英語が好きになりました。次男は、受験対策に特化していない英語塾で、ネイティブの先生との会話や、英語でのプレゼンテーションの授業を通じて、自然と英語への学びを深めていったように思います。

Q:どのようなプロセスでご入学されたのですか?

A:

準備期間がとても短く、3月に駐在の内示が出て、7月には渡英という慌ただしいスケジュールでした。 空きがある学校、オンライン面接をしてもらえる学校の中から、子どもたちの英語力や性格を考慮して、学校選びを行いました。最終的に合格した学校に、先に赴任していた夫が実際に訪問し、校長先生や在校生と直接話して、雰囲気が合う学校を選びました。 結果的に兄弟が同じ学校、同じハウスに入れてもらうことができ、精神的にも安定した環境が整ったかと思います。 面接対策については短い期間でしたが、塾に協力してもらい面接の練習を行いました。また、9月に授業が始まる前に、3週間のサマースクールに参加し、ボーディングスクールの生活に慣れる機会をつくりました。本人たちも、「あの経験はとても良かった」と振り返っています。

Q:学校の雰囲気を教えてください。

A:

彼らが進んだイギリスのボーディングスクールは、まるでハリーポッターの世界のような歴史ある建物が並び、敷地内には羊がいる自然豊かな環境の中にありました。カトリックの学校だったので、スペインやフランスなど多様な国からの留学生がいて、多文化が融合した雰囲気もとても魅力的でした。

Q:「全人教育」を感じられた瞬間はありましたか?

A:

息子たちは、それまでサッカーやラグビーは経験がなく、どちらかというと苦手な方でした。けれども、イギリスでは、無理にやらせるというよりは、それぞれのレベルや興味に合わせて、好きなようにやらせてもらっていたと思います。 レベル別にチーム構成があって、競技志向の強い子たちと、純粋に楽しみたい子たちが、それぞれのペースで取り組める環境でしたね。実際、学校に入ってから、息子が「ラグビー楽しい!」と言っていたのにびっくりしました。

Q:日本の教育と違いを感じられたことはありますか?

A:

日本では中学受験を経験し、勉強することに慣れていたはずだったのですが、長男がEconomicsのテストを受けた際、全く点数が取れず、本人は悔しい思いをしました。インターネットで、いわゆる正解を調べて、レポートを完璧に書き上げたにも関わらず、またしても厳しい評価。納得いかず先生に食い下がったところ、「私は模範解答を聞いているんじゃなくて、君の意見が聞きたい。君自身が想定した結論を導き出すまでのロジックが重要。」と。 日本では、“正解を出すこと”に重きが置かれますが、イギリスでは“自分がどう思うか”を「考えること」が求められます。その違いを体験したことで、アプローチ方法が変わり、殻を破るきっかけになったと思います。

Q:留学を通して、お子様にどんな変化がありましたか?

A:

次男は、日本では数学が苦手で、自分は文系だと思い込んでいました。しかし、イギリスでは、日本の数学教育のレベルが高いこともあり、「すごい」と褒められることが自信につながり、すっかり数学好きに。さらに、公式を使ってただ計算するというよりは、前にお伝えしたとおり、「考えること」がベースなので、理系科目の楽しさに目覚めたようで、現在は、大学で化学を専攻しています。 学校には化学部がなかったので、自分で化学サークルを立ち上げていました。日本ではそのようなことをする積極的なタイプではなかったんですが、個性を引き出してもらい、日本では見られなかった一面が開花したように思います。

日本とイギリス、両方の教育の良さを吸収したことは、子どもたちにとって大きな財産になっています。

次回予告

最終回となる第3回では、大学進学の決断やプロセス、トップ大学での経験、そして「留学を迷う保護者の方へのメッセージ」をじっくりご紹介します。

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Kens Academic 編集部

記事執筆Kens Academic 編集部

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