2025.10.11|最終更新日:2025.10.11

イギリスのボーディングスクールと日本の学校の違い(2/2)

目次

多くのご家庭から「日本の学校とイギリスの学校はどう違うのですか?」というご質問をいただきます。私自身2人の子供がイギリスのボーディングスクールで学んだ経験があり、その中で感じた教育の特徴・違いをいくつかの観点からご紹介したいと思います。

お子様を育てるにあたって、お子様の将来像に向けてどのような環境が合いそうか、を考えていただくための参考にしていただけるかと思います。

今回は前回に引き続き、3つ目の観点についてお伝えします。

評価と進路の考え方

日本では入試が「一発勝負」になりがちで試験の点数が進路を決定づけます。

対してイギリスでは学業成績だけでなく、課外活動や人間性、リーダーシップなど多角的な要素が評価されます。大学進学時もエッセイや面接などを通じてその人がどんな学び手であるかを問われるのです。

また、学力の評価そのものも日本とは異なります。日本では答えの正確さが重視されますが、イギリスでは「どのようにして答えにたどり着いたのか?」「その理論や説明に説得力があるか」が評価対象になります。たとえ最終的に誤答であっても思考の過程や独自性が認められることが少なくありません。これは知識の量を競うのではなく、学びの質や深さを評価する英国式の姿勢です。学力だけではなく「人となり」と「思考力」が次のステップにつながるという考え方はまさに全人教育の理念を体現していると感じました。

さらに、イギリスの大学では「入学すること」自体がゴールではありません。むしろ、その後の学びの積み重ねがより重視されます。大学を卒業する際には取得する学位の等級(グレード)が分かれており、それが就職活動やキャリア形成に大きな影響を与えます。入学試験の一回限りの結果ではなく、大学でどれだけ主体的に学びを深め、知識や思考力を磨いたかが将来を左右する点も、イギリスの教育の特徴といえるでしょう。

日本とイギリスの教育を比較して

もちろん、日本・イギリス、どちらの教育にも長所と短所があります。

日本の教育の持つ「基礎学力の強さ」や「仲間と協力する精神」は世界的にも評価されていますし、イギリスの学校の「個性尊重」や「多様な学び方」もまた魅力的です。大切なのはどちらが優れているかではなく、子供の性格や将来像にあわせて適した環境を選ぶ事だと思います。留学を検討するご家庭にとって日本とどう違うのか?を知ることは大きな一歩になります。

私自身も子供を英国で育てて多くを学びましたが、それは教育の違いだけではなく親子にとって成長の機会でもありました。イギリスの教育が重視する全人教育の考え方は学力だけでなく人間性や社会性をバランスよく育てるという意味でこれからの時代にますます重要になるのではないでしょうか?今後も現場からの経験を交えながら、皆さまの選択に役立つ情報をお届けできればと思います。

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森重弥須美

記事執筆森重弥須美

もりしげ やすみ

Kens Academic コンサルタント

在英歴14年(通算20年)。二人の息子をイギリスのボーディングスクールで学ばせ、卒業へと導いた経験に基づき、成功談だけでなく苦労した点も含め、リアルな体験に基づいた実践的なサポートを提供しています。

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