2025.06.21|最終更新日:2025.06.05

【経験者インタビュー】イギリスボーディングスクール留学、保護者が実際に感じたことは?(3/3)

目次

※本記事は、英国ボーディングスクールにお子様を送り出し、トップ大学に進学させた保護者の方へのインタビューを、3週に分けてお届けします。今回は第1回となります。

海外留学に興味はあるけれど、「うちの子に合うか不安」「親としてどうサポートすればいいの?」と迷っている方も多いのではないでしょうか。
今回は、お子様おふたり(中学生・高校生)をイギリスのボーディングスクールへ送り出し、のちに英国トップ大学へと進学させた保護者の方にお話を伺いました。
どのように進学を決めたのか? 実際に現地で子どもたちはどう過ごし、どう成長したのか?日本とイギリスの教育の違いや、親として感じたメリットまで、リアルな声をお届けします。

Q:なぜお子様をボーディングスクールに行かせようと思われたのですか?

A:

長男が高校2年、次男が中学3年のときに、夫のイギリス赴任が決まりました。当初は夫のみ単身赴任することも考えましたが、私は仕事を通じて留学経験のある学生たちと接する機会があり、彼らは非常に視野が広く、留学を通して大きな成長を遂げていることを実感していましたので、一緒に渡英することを決意しました。 そうした背景もあって、たとえ駐在が終わっても、本人たちが留学を続けたいと思えばイギリスに残れるように、最初からボーディングスクールを前提に学校選びを進めました。当時、子どもたちは日本の学校生活を楽しんでいたので、留学させることへの不安も大きかったですが、あえて新しい環境に飛び込むことで、より長期的な成長につながると信じて、背中を押しました。

Q:もともと英語の教育に力をいれられていたのですか?

A:

子どもたちが幼稚園~小学生のとき、2年ほどアメリカに住んでいましたので、英語に対して耳は慣れていたかもしれません。 しかし日本では、まずは “日本語をしっかり身につけさせること”を重視しました。その後は、学校での英語教育に加え、塾で英語を学びつつ、英語環境に触れる機会を与えることは意識していました。長男は高校1年生の夏にカナダのサマースクールに行って、生きた英語に触れたことがきっかけで英語が好きになりました。次男は、受験対策に特化していない英語塾で、ネイティブの先生との会話や、英語でのプレゼンテーションの授業を通じて、自然と英語への学びを深めていったように思います。

Q:どのようなプロセスでご入学されたのですか?

A:

準備期間がとても短く、3月に駐在の内示が出て、7月には渡英という慌ただしいスケジュールでした。 空きがある学校、オンライン面接をしてもらえる学校の中から、子どもたちの英語力や性格を考慮して、学校選びを行いました。最終的に合格した学校に、先に赴任していた夫が実際に訪問し、校長先生や在校生と直接話して、雰囲気が合う学校を選びました。 結果的に兄弟が同じ学校、同じハウスに入れてもらうことができ、精神的にも安定した環境が整ったかと思います。 面接対策については短い期間でしたが、塾に協力してもらい面接の練習を行いました。また、9月に授業が始まる前に、3週間のサマースクールに参加し、ボーディングスクールの生活に慣れる機会をつくりました。本人たちも、「あの経験はとても良かった」と振り返っています。

Q:学校の雰囲気を教えてください。

A:

彼らが進んだイギリスのボーディングスクールは、まるでハリーポッターの世界のような歴史ある建物が並び、敷地内には羊がいる自然豊かな環境の中にありました。カトリックの学校だったので、スペインやフランスなど多様な国からの留学生がいて、多文化が融合した雰囲気もとても魅力的でした。

Q:「全人教育」を感じられた瞬間はありましたか?

A:

息子たちは、それまでサッカーやラグビーは経験がなく、どちらかというと苦手な方でした。けれども、イギリスでは、無理にやらせるというよりは、それぞれのレベルや興味に合わせて、好きなようにやらせてもらっていたと思います。 レベル別にチーム構成があって、競技志向の強い子たちと、純粋に楽しみたい子たちが、それぞれのペースで取り組める環境でしたね。実際、学校に入ってから、息子が「ラグビー楽しい!」と言っていたのにびっくりしました。

Q:日本の教育と違いを感じられたことはありますか?

A:

日本では中学受験を経験し、勉強することに慣れていたはずだったのですが、長男がEconomicsのテストを受けた際、全く点数が取れず、本人は悔しい思いをしました。インターネットで、いわゆる正解を調べて、レポートを完璧に書き上げたにも関わらず、またしても厳しい評価。納得いかず先生に食い下がったところ、「私は模範解答を聞いているんじゃなくて、君の意見が聞きたい。君自身が想定した結論を導き出すまでのロジックが重要。」と。 日本では、“正解を出すこと”に重きが置かれますが、イギリスでは“自分がどう思うか”を「考えること」が求められます。その違いを体験したことで、アプローチ方法が変わり、殻を破るきっかけになったと思います。

Q:留学を通して、お子様にどんな変化がありましたか?

A:

次男は、日本では数学が苦手で、自分は文系だと思い込んでいました。しかし、イギリスでは、日本の数学教育のレベルが高いこともあり、「すごい」と褒められることが自信につながり、すっかり数学好きに。さらに、公式を使ってただ計算するというよりは、前にお伝えしたとおり、「考えること」がベースなので、理系科目の楽しさに目覚めたようで、現在は、大学で化学を専攻しています。 学校には化学部がなかったので、自分で化学サークルを立ち上げていました。日本ではそのようなことをする積極的なタイプではなかったんですが、個性を引き出してもらい、日本では見られなかった一面が開花したように思います。

日本とイギリス、両方の教育の良さを吸収したことは、子どもたちにとって大きな財産になっています。

Q:ボーディングスクールに行かせて「良かった」と思う点は?

A: 「自分らしくあっていい」という環境があることです。先生たちがとにかくよく褒めてくれて、成功体験を積み重ねることで、自信や自己肯定感が育まれてきました。 その結果、物おじせず、ブレない「自分の軸」のようなものができて、それが大学進学やその後の進路選択にも確実に生かされています。 また、親がそばにいない環境だからこそ、自分で考えて行動する力が育ちましたし、私たち親も「子離れ」する良い機会になったと感じています。

Q:大学進学はどのように決められたのですか?

A: 長男は、当初日本の大学進学も考えていたのですが、「西洋美術史を学ぶなら本場で」という思いから、最終的にイギリスのラッセルグループの大学を受験しました。 コロナで、A-Levelの統一テストが中止になり、成績の採用の仕方が二転三転する事態が発生しました。最終的には問題なかったのですが、自ら学校に連絡してアピールをするなど、粘り強く取り組んだこともあり、合格をもらった時には達成感があったようです。 日本で暮らしていたら、選ばなかった道だったと思いますので、充実した大学生活を送っていました。

次男は自然とイギリスの大学を目指す流れに。負けず嫌いな性格もあり、学業に非常に力をいれていました。化学オリンピックでの受賞もあり、最終的には、オックスフォード大学に進学することができました。

Q:トップ大学に入学して良かったと思う点

A: やっぱり「仲間の存在」が一番大きいですね。世界中から集まる優秀な学生たちと出会えたことは、一生の財産になると思います。今では「世界中どこでも働ける」という視野を持っていて、それが大きな自信にもつながっています。

Q:お子様の留学を迷っている方に向けてボーディングスクールの良さを教えてください

A: 親が「行かせる」のではなく、子ども自身が「挑戦したい」と言うのを待つことが大切です。そして一度送り出したら、「やめる?」「大丈夫?」などと言わずに、応援し続けることが重要です。そうすると、子どもにはエネルギーもレジリエンス力もあるので、絶対乗り越えてくれます。そして、親の「私は私で頑張る」姿勢を見せることが子どもたちにとっても大きな励みになります。 ボーディングスクールは、子どもが“個”として強くなる場です。不安は当然あると思いますが、乗り越えた後の成長は、本当に想像を超えるものだと実感しています。

最後に

Kens Academicでは、今回のような実体験に基づくリアルな情報をもとに、ご家庭ごとのご状況に合わせた丁寧な留学サポートを提供しています。ボーディングスクール留学に関心のある方は、ぜひお気軽にご相談ください。

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Kens Academic 編集部

記事執筆Kens Academic 編集部

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