2025.10.04|最終更新日:2025.10.04
目次
多くのご家庭から「日本の学校とイギリスの学校はどう違うのですか?」というご質問をいただきます。私自身2人の子供がイギリスのボーディングスクールで学んだ経験があり、その中で感じた教育の特徴・違いをいくつかの観点からご紹介したいと思います。
お子様を育てるにあたって、お子様の将来像に向けてどのような環境が合いそうか、を考えていただくための参考にしていただけるかと思います。
今回は前編として2つの観点としてご紹介いたします。
学びのスタイルの違い
日本の学校教育は、公立校を例にとると基礎学力の定着と知識の網羅に重きを置いています。カリキュラムも全国的に統一され、同じ学年であればどの学校でもほぼ同じ内容を学びます。一方、イギリスの学校では「自分で考える力」を育てることが大きな目的になっています。授業では先生が一方的に教えるのではなく生徒が発言し、ディスカッションやグループワークを通じて理解を深める場面が多いのです。
こういった学びのスタイルによって、子供たちはただ知識を覚えるだけでなく自分の意見を自発的に表現する習慣が身につきます。クラスで発言することに慣れると人前で話す力やプレゼンテーション能力も自然と伸びていきます。また議論を通して異なる意見に触れることで物事を多角的に考える力や相手を説得する表現力も磨かれます。さらに、自分で調べたり考えたりして答えを導く経験が積み重なることで探求心や問題解決能力が育つのです。
加えて、科目選択の自由度が高く、自分の得意分野や興味を早い段階から伸ばすことができます。例えば私の長男は語学が得意だったのでシニアスクール入学時13歳から中国語、スペイン語、ラテン語を学習し、大学ではポルトガル語を専攻し在学中にブラジル留学するなど好きなことをとことん追求できる環境であった事が証明できます。「学びの幅広さ」と「自発性を引き出す教育姿勢」はイギリス教育の大きな特徴だといえます。

学校生活と人間関係
日本の学校ではクラス単位での一体感や協調性を重んじる文化があります。運動会や文化祭など学年や学級全体で取り組む行事も多く仲間と同じ経験を共有することが強調されます。
一方、イギリスのボーディングスクールでは「ハウス」とよばれる小さな共同体が生活の中心となります。年齢の異なる生徒が同じハウスに所属し、寝食を共にしながら助け合います。上下関係よりも「リーダーシップ」と「責任感」が求められ、先輩が後輩を世話し、後輩もまた自立的に行動する姿勢が育まれるのです。ハウスごとの結束を高めるために、スポーツの試合や芸術・音楽のコンペティションなど、ハウス対抗の行事が年間を通して数多く行われます。
また、先生方も生徒を「一人の個性」として尊重し個別に寄り添ってくれる印象があります。日本のように「みんなと同じであること」が暗黙の前提にならず多様な考え方やバッググラウンドがそのまま価値とみなされる点はグローバル社会で生きる力になると感じています。

学生が住む寮(ハウス)
次回は、評価と進路の考え方についてご紹介させていただきます。