2026.08.29|最終更新日:2026.08.29
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イギリスへの留学をご検討されているお子様や保護者の方々にとって、お子様がどれくらいの英語力を保持していれば学校での履修や活動、また寮生活などの日々の暮らしに支障がないか?は頭を悩ませる大きな検討課題の一つであるかと思われます。
ではまずは一般的な年齢別英語習熟度の目安を見てみましょう。
| 留学時期 | 目安の英語力 | CEFR | IELTS,英検の大まかな目安 |
| Primary Year 1–2 (5-6歳) | 基礎的な会話ができれば可 | A1–A2 | 2.0–3.0程度,英検4級 |
| Primary Year 3–4 (7-8歳) | 日常会話+簡単な読書・作文 | A2 | 2.5–3.5程度,英検3級 |
| Primary Year 5–6 (9-10歳) | 授業についていくための基礎力 | A2–B1 | 3.0–4.0程度,英検準2級 |
| Secondary Year 7–8 (11-12歳) | 授業を概ね理解できる | B1 | 4.0–5.0程度,英検2級 |
| Secondary Year 9 (13-14歳) | 英語で各教科を学べる | B1~B2 | 4.5–5.5程度,英検準1級 |
| Year 10–11(GCSE) (15-16歳) | 高い読解・作文能力が必要 | B2 | 5.0–6.0程度,英検1級 |
| Sixth Form(Year 12–13) (17-18歳) | A Levelを英語で学術的に学ぶ | B2以上 | 5.5–6.5程度,英検1級以上 |
※IELTSはイギリスの大学留学のために用いられる英語試験なので、小中学生のイギリス留学に必要という訳ではありませんが、一応目安として入れています。
学校で日々生活するだけで適切な英語力は”自然に”身に付くか?
「子どもは低年齢であればあるほど、何も補助しなくてもすぐに英語がペラペラになる。」と言われる伝説がありますが、これは真実でしょうか?
確かに発音については、幼い子どもは母語である日本語の語彙が少ないので、英語の音を日本語の音に置き換えずに吸収し易く、英語独特の音やイントネーション、リズムを自然に身に付けやすいです。
しかし、英語力全体の向上は年齢だけでは決まりません。
「英語学習の開始年齢、英語に触れる時間の量と質、英語を使う環境」の組み合わせによって、身に付く英語力や伸びは大きく変わってきます。
イギリスの学校の授業で使う英語は、単に他者とのコミュニケーションを上手く取るための英語だけではなく、新しい知識を得るために読んだり、発表したり、討論したり、履修した知識を元に自分自身の考察を踏まえて書いたり、というアカデミックなツールとしての英語力が求められます。
イギリスの学校における英語を母語としていない子どものための英語教育
イギリスの学校では、英語を母語としない子ども(EAL: English as an Additional Language)に対して、単に「英語の授業を追加する」というより、通常の授業に参加できるように英語力を段階的に支援するという考え方が一般的です。
- EALという考え方
イギリスでは、家庭で英語以外の言語を使う生徒を EAL learner と呼ぶことがあります。
重要なのは、EALだからといって必ずしも「英語が苦手な生徒」という意味ではないことです。その対象は、英語をほとんど話せない新入生、日常会話はできるがAcademic Englishが弱い生徒、英語はかなり流暢だがEssay writingが苦手な生徒 など、レベルは非常に多岐にわたります。
- 通常授業+英語サポート
イギリスの多くの小中学校では、EALの生徒を完全に別クラスにするのではなく、Maths、Science、History、Englishなどの通常授業に参加しながら、必要に応じて英語面をサポートするという形が多く見受けられます。
そして授業に参加しながら、その教科特有のVocabularyを教えたり、長い文章問題の読み方を支援したりします。
つまり、英語そのものだけでなく、「英語で教科を学ぶための英語」を身につけさせます。
- EAL専門スタッフによる支援
学校によっては EAL Coordinator / EAL Teacher がいます。
生徒の英語力を確認し、Reading、Writing、Speaking、Listening、Vocabulary、Academic Englishなどの状況を把握します。
その上で、EALの小グループ授業、英語の追加授業、Writing support、Vocabulary support、授業中のサポートなどを行います。
ただし、すべての学校が同じレベルのEAL支援を提供しているわけではありません。
学校によってかなり差があります。
- Secondary Schoolでは「Academic English」が非常に重要
これは日本からイギリスのSecondary School(Year 7~)へ留学する場合、とても重要なポイントです。
日常会話ができても、「授業についていける英語」を習得しているとは限りません。
例えばHistoryでは、Explain / Analyse / Evaluate / Compare / AssessなどのInstruction wordsを理解する必要があります。
また、Give evidence to support your answerやExplain the significance of…のような問題を理解して、英語で論理的に回答しなければなりません。
そのため、イギリスの学校で求められる英語は、日常英会話 → Academic English → Subject-specific Englishというように学年が上がるにつれて高度になっていきます。
- GCSEになると英語力の重要性がさらに上がる
特に Year 10–11(GCSE Year)では、英語力が学業成績にかなり影響します。
例えば、Biology(生物学)の場合、科学用語を理解したり、長い文章を読んだり、実験結果を説明したり、 Evidenceを使って回答したりすることが求められます。
History(歴史)でしたら、大量の英文資料を読んだり、資料の意味を分析したり、Essayを書いたりする能力が必要です。
そのため、EAL支援も単純な「英会話」ではなく、GCSEで点数を取るためのReading、Writing、Academic vocabularyに重点が移っていきます。
日本から留学する子どもにとって重要なこと
日本の学校からイギリスの学校に留学する場合、最初に大きな壁になりやすいのは、「英語が話せるか」よりも「英語で授業を理解して、英語で答案を書くことができるか」です。
例えば、日常会話ができれば友達との会話は比較的可能ですし、授業を聞いて理解できれば通常授業に参加しやすく、Academic vocabularyが習得できていればGCSEで有利です。また、HistoryやPsychologyではEssayが書けることが重要であり、科目によって独特の英単語や英語の使いまわしを習得していればA Levelを目指す6th Formへの入学が可能です。
特に6th FormというA Levelを履修するYear 12-13の生徒の場合は、専門用語を正確に理解し、評価・分析を含むEssayを書く能力が必要になり、高度なAcademic Englishを使って専門科目を学べるようにすることが重要になります。
したがって、日本から留学するお子様の場合、留学年齢とそれぞれのお子様の英語習熟度を見極めることは最も重要であり、それが不足している場合には相当な覚悟と家庭教師などの個別対応が必要となります。
息子の例
息子は日本の私立小学校4年生の1学期を終え、9月からロンドン郊外にあるプレップスクールの(生まれ月の関係で学年がインフレされて)Year 6に編入しました。その当時の息子の英語力は恐らくPrimaryのYear1- 2程度。先生やお友達とは簡単に言葉を交わせるけれど、授業内容は殆ど解できていなかったと思います。特に、息子が編入された能力別によるミドルセットの英語の授業では、北欧からイギリスにやってきたバイキングの子孫の物語が取り上げられており、難しい英単語の数々はもちろん、イギリスの歴史など全く知らない息子にとってはちんぷんかんぷんだったことでしょう。
学校への送迎の合間の先生がたとの会話や息子の話す様子から、絶対的な英語力の不足による息子の相当な落ちこぼれぶりを親としてはっきりと認識したのは、編入して1か月半ほどのハーフタームの頃でした。夫と私はすぐさま学校で使われている全部の教科書を自宅に取り寄せ、週末毎に何時間もかけて英語、歴史、地理、生物学、化学、宗教の予習復習に息子と一緒に乗り出しました。
息子は、プレップスクールではもちろんEALの授業を受けていましたが、それだけでは全く不十分と考えて、長期休暇には家庭教師としてそのEALの先生に拙宅に来ていただき、英語力アップに取り組ませました。またイギリスの歴史を少しでも身体的、視覚的刺激からも感じさせたいと願い、ハドリアヌスの城壁やヘイスティングの古戦場に出かけたり、マグナカルタの原本を見に行ったり、National Portrait Galleryの色々な王様の肖像画の前でその王様が行った政策を読んで聞かせたりしました。
弛まぬ本人の努力の甲斐もあり、その後、息子はYear 7では能力別のトップセットに進級することができたのでした。
子どもが持つ『飛躍的に伸びる力』は大人が想像もつかない計り知れないものです。
適切な時期に適切な補助さえすれば、子どもはとてつもなく大きく成長することができることを私は息子と歩んだ日々から学びました。